人類はを沸かす

 


人類が火を使い始めたのは通説として50万年前だったのだが、
近年イスラエルで79万年前という説が出現して各地を騒がせた
のは記憶に新しい。

さて、最初の頃人類は食い物の加熱調理と明かりのために
火を使っていたのはまぁ間違いない。

しかしやがて土器を作るようになってから、人類は食べ物を
煮るということを覚えた。…加熱調理の一種だけど
当然煮ることも覚えた。
人類がはじめて湯を沸かしたのは土器の誕生以降だろう。

さて、湯を沸かすことを覚えた人類はその湯を加熱殺菌
洗浄とかに用いていた。
そんなこんなで産業革命まで人類は湯を沸かすことを
基本的には生活に使っていた。
たまーに武器として使ったりした事例もあったけどな。

ところが1712年、イギリスの鍛冶屋ニューコメンによって人類は
湯の使い方の次のステージに進むことになる。

ニューコメンは当時暖房などに用いられていた石炭の採掘の際、
水脈にぶつかって出水する問題の解決を考えていた。

ニューコメンの考えた方法はこうだ。
湯を沸かすボイラーとシリンダーを用意する。
そのシリンダーにボイラーで沸かした蒸気を送り込む。
その蒸気を一気に冷やすとシリンダー内の圧力が低下し、ピストンが
動くわけだ。

ところがこの機械、すでに特許が取られていた)。
1698年にセーヴァリっておっさんが「の力でを揚げるあらゆる装置
の特許をとっていたのだ。泣く泣くニューコメンは特許契約を
むすんだそうな。かわいそうに。

人類史上初の蒸気機関は1712年、地球上に出現した。
こうして排水ポンプとして用いられたのだが…故障が多くてな。
あと熱効率も極めて悪かった。
掘り出す石炭の4割を食うという恐ろしいしろものだった。
エネルギー効率はわずか1%であったそうだ。

それから60年、人類はニューコメンの蒸気機関で湯を沸かしつづけた。
しかしここに一人の技術者が出現する。ワットである。
ワットはニューコメンの蒸気機関の改良を依頼されたのだが、
その際に蒸気を冷やす方法を改良し、また蒸気を入れるときの力も
用いることでエネルギー効率を増大させた。
その結果エネルギー効率は4〜5%にまで高まったのだ。

彼らの蒸気機関では、蒸気の温度を低く保っていた。
理由はずばり危ないからである。数万人単位で犠牲が出たら
そりゃそうも思うわな。
ところが技術の進歩の結果もあったのか1802年、トレビシックによる
高圧蒸気機関が開発される。人類は湯を沸かしたあと蒸気を高圧化した。
これによりエネルギー効率は10%にもなった。

その結果蒸気機関車が出現することとなるがそれはまた別の話。

1884年にはパーソンズがついに究極の蒸気動力蒸気タービン
開発した。蒸気タービンは現在も良く使われている。
これは高圧の蒸気を羽根車に直接当ててまわす方式である。
エネルギー効率は最高40%という値に達した。
この値はガソリンエンジンなどの内燃機関をも上回る。
その結果何が起こっただろうか?

初期の蒸気タービンの燃料は石炭だった。
やがて重油が用いられることになる。
それから数十年後、原子炉が開発された。
しかし、いずれにしろまず人類はを沸かした。
原子炉だろ!何でを沸かすんだ!…割とエネルギー効率いいからな。

(掲示板で御指摘がありましたが、現在のところ最高のエネルギー効率をもつのは
ディーゼルエンジンの一種だそうです。熱転換効率50%以上だということです。)

火力発電所でも原子力発電所でも湯を沸かした。
船の動力としても湯を沸かした。

やがて地球の内部構造がわかり、地熱による発電が可能であると
わかり、人類は地熱でを沸かした
太陽の強力な光で発電を行う際、その光を一箇所に集め、
やっぱりを沸かした。
(カリフォルニアの太陽光発電施設では油を沸かしている)

熱エネルギーを動力に転換するには蒸気タービンが有用なのだ。
ガスタービンも有用だが。
で、大体の場合どんな新エネルギーだろうと熱を発生させる。つまりだ。

メタンハイドレートだろうと核融合だろうと反物質だろうとだ。
どんな新しいエネルギーを用いるとしてもだ。
人類はを沸かしつづけるだろう。だってエネルギー効率わりといいし。

これから何百年、いや何千年先であってもだ。
きっと人類は湯を沸かしつづけているに違いない。
湯を沸かす。それが人類の生きる証なのかもしれない。

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